保育所伝統芸能継承運動

 地域で子どもを育てよう、社会全体で子育てに係ろうという風潮が、少子化を背景に高まっていますが、地域との関わりや近所づきあいが希薄化している現状があります。そこで保育所等が保護者と地元地域との潤滑油となって、高齢者の方々や地域住民の方のマンパワーを活用させていただき、地域に伝わる伝統芸能・伝統行事を掘り起こし、伝えていこうという想いからはじめた事業です。

 各地で広がっている地域の独自性やエンパワーメントを生かした取り組みで、保育所等も地域の人々を巻き込み、伝統芸能の継承に力を入れることで、地域に必要とされる保育所等になるよう取り組みを推し進めていきます。

◎伝統芸能って?

伝統芸能は、日本の古来より伝わる技能や芸術の総称で、非常に広い範囲を指す言葉になります。

例えば、能や歌舞伎はもちろん、和歌や俳句、さらには和太鼓や陶芸や工芸等も含まれています。つまり、ほとんど日本固有の文化を指し示す言葉なのです一方で、一般的には、能や歌舞伎、文楽など舞台芸術を指す、狭い範囲の意味で理解されていることが多いです。しかし、お祭で子ども歌舞伎が上演されるように、地域に根ざした伝統芸能はこれらと無縁ではありません。むしろ、様々な伝統芸能がつながり合って、1つの日本文化を形作っていると理解することが大切です。

また、地域独特の風習や信仰に基づく、地域に根づいた伝統芸能を民俗芸能と呼びます。

例えば民俗芸能には、地域の寺社の行事として行われる、盆踊りや獅子舞などがあります。つまりは、地域の伝統行事も民俗芸能となります。

◎受け継ぐことはなぜ大切?

伝統芸能の中には、その地域の風俗や習慣、信仰など様々なものが伝承されています。さらに、その担い手はその地域に住む人々ですから、その準備から実施までは人々が交流する場にもなります。つまり、自分たちの住む地域の伝承を共有し、それを基にした共同作業をする芸能は、地域のつながりをより強固にします。

また、そうやって脈々と受け継がれてきたものを理解することで、これまでそこに住んできた人々とも地域への思いを共有でき、より地域に対して愛着を持てます。

これが、伝統を受け継ぎ、大切にしなければいけない大きな理由と言えます。